Willow Pants
楽しみにされていた方も多いと思います。
『パンサー』こと飯田さんが立ちあげたブランド、『Willow Pants(ウィローパンツ)』。
1stコレクションを12月1日から発売するにあたり、様々なお話をお伺いしました。
中島:よろしくお願いします。
12月1日からパンツを発売させてもらえるという形なんやけど、
せっかくなんで、この「ウィローパンツ」の名前の由来であったり、コンセプトとか、
そういうのを教えていただけたらなと思うので、よろしくお願いします。
パンサー:はい。
ブランドネームを「ウィローパンツ」っていうネーミングにしてるんですけど、
どういうブランドに、名前にしようかなみたいなことはずっと悩んでたんですよね。
中島:ほうほう。
パンサー:まあノートに箇条書きで色々書いてて、候補は幾つかあったんですけど…。
僕は前の会社を辞めてから外に出ることが増えて、車に乗ることも増えたんですよ。
で、何気なく自分のiPhoneから音楽をかけて車運転してたら、
なんか「ウィロー、ウィロー」っていうのがスピーカーから流れて来るんですよ。
中島:ははは(笑)歌詞で?
パンサー:はい、歌詞としてね。
その曲は前から聞いてたんですけど、そのときは別に「ウィロー」って響きに、何も自分は反応してなかったんですよ。
中島:以前は何も感じるものはなかった?
パンサー:そうなんですよ。その曲を知ってから半年、いや1年くらい経つかな。
それくらい経って、何回も聞いてたのに全然入って来なかったのがふと、その瞬間パッと入ってきて。
それで家に帰って調べたわけですよ、「willow」っていう意味をね。
中島:なるほど(笑)
パンサー:そしたら、直訳すると「柳」っていう、木の。
中島:はいはい。
パンサー:それで「あ、柳か」と。
『旅する洋服屋』のときにも言ってたと思うんですけど、前職の頃からサンフランシスコに年2、3回行ってたんですよ。
そのときに毎回、向こうのお友だちと、「ちょっと公園に行ってビールでも飲もう」みたいなことがあるんですけど、
その公園にたくさんの柳が植わってたりするんですよ。
中島:ほう~。
パンサー:サンフランシスコにはそんな柳が植わってる公園が町中にけっこうあって。
で、それがパッって頭に浮かんで、そこからちょっと意識しだすようになったんです。
「ウィロー」っていう響きも柔らかくていいんじゃないかって。
それでまあ他にも候補はあったんですけど、最終的に「ウィロー、やっぱええなぁ」って(笑)
あとは自分がパンツのブランドをやろうと思ったときから、「パンツ」っていうのを最後に付けたかったんですよ。
自分は「パンツしか作らないブランド」って言ってるので、自分の中のルールじゃないですけど。
もう1つは、やっぱりお客さんが分かり易いかなと思って、「パンツ」が付いてるほうが。
中島:あ~、なるほどね。
パンサー:うん。 『Willow』っていうブランドよりかは、
『Willow Pants』って付いてるほうが説得力もあるし、そういう意味で付けました。
最終的には、別に柳にそこまで強い思い入れがあったわけでもないんですけど、
ただでも、知らず知らずに自分の周りにあったものって言ったらいいか…。まぁ、曲と木なんですけど。
そういう部分に惹かれて付けた感じですね。もう、最終的にはペットに名前を付けるみたいな感じで。
そんな別にすごいこう、深い意味合いがあるわけでもなく、柳をイメージしたパンツを作ってるわけでもないし。
中島:ははは(笑)
パンサー:で、ブランドコンセプトは正直、そんなに設けてなくて。
自分のその、今まで見てきた色んな洋服しかり、アートでしかり、音楽でしかり、映画でしかり、
そういう自分が影響を受けたものをパンツに落とし込んで行けたらいいなって思ってるんで。
そのシーズンシーズンで何かちょっとこう、1つの「枠」みたいなものは作りたいなとは思ってるんですけど。
だからといって、「今回のテーマはコレです!」っていう大きなテーマがあるわけではないんで、はい。
中島:そしたら、今のところ型数は何型くらいするの?
パンサー:型数は4型ですね。
今回1stのコレクションはロンパンが2型とショーツが2型になります。
中島:素材はこの2素材。
パンサー:2素材ですね。
中島:これは両方デッドストック?
パンサー:そうですね。
中島:基本的に使う素材はデッドが多くなりそう?
パンサー:まだ今の時点で「コレ使っていきます!」とは言い切れないんですけど、
一応デッドストックは使いたくて、あとやっぱりその、自分で生地作りたいとかもあるんですよね。
ただそっちはいつ出来るかはまだ…って感じなんですけど。
中島:なるほどな。
パンサー:ただ正直、現行で流れてる生地でも、特に日本の生地っていうのは凄いんですよ。
アメリカに行っても、日本の生地をどうしても使いたいっていう向こうのデザイナーも多いし。
「いいもん作ってるよね、日本は」みたいなことをよく言われるから。改めて自分も、ね。
モノ作りするようになって、生地を今まで以上に見ることが増えたから、
そういう意味でも「あ、これはいいな」って思うものなんかは、流れてる生地でも使いたいなとは思うんで。
で、結局僕も、こんなん言ったらあれですけど、「分かりやすい生地」が好きなんです。
中島:まぁ、でもそれは大事やと思う。
パンサー:もうほんとに、デニムしかり、こういうコールテンしかり、
やっぱり皆さんが世の中で「普通に穿いてる素材」っていうのがリアルだと思うんですよね。
穿き心地が良かったりとか、例えば冬やったら暖かかったりとか、夏やったら涼しかったりとかっていうのは大事で。
まぁただ、このパンツの「スレキ」の部分、ポケットの裏布であったりとか、
あとこの帯、ウェストの裏であったりとか、こういうところだけはリネンを使うようにしてるんです。
なんでかっていうと、やっぱり肌触りが普通のジーパンとかの、
綿100のスレキなんかと比べたらちょっとザラついた感じがあって、自分はその感触が好きなんですよね。
中島:あ~。
パンサー:あとはなんかこう、持ってる人だけが分かる、ちょっと違うところが欲しかったんですよ。
見えないところじゃないですか、ぶっちゃけ。
でも自分だけは、例えば脱ぎ捨てたときなんかに見えたりして、「この裏地のリネンがいいんだよな~」みたいな。
これはもう、正直自己満なんですけど、そういう部分も自分はこだわったってのは強いです。
どっちかって言ったら、穿き心地とか、触り心地とかっていう部分が大事なのかもしれないですけど、
見えないところの見栄えもすごい気にしましたね。
中島:やっぱり、脱いだ時の見栄え、穿いてへんときの。
そういうのも男は好きやからな(笑)
中島:じゃあ次は、ウィローパンツのこのタグ、トレードマーク?
ここに関していいですか?
パンサー:分かりました。
『Willow Pants』では、自分が今までバイヤーを20年間やってきて、
「ここがもうちょっと、こうやったら良かったのにな」とか思ってきたこと、
そういった経験を活かしたモノ作りがしたいなっていうのがあって。
中島:あ~、はいはい。
パンサー:それで、やっぱブランドネームっていうのは「顔」じゃないですか。
やっぱり「タグ」っていうのも、凄く大事やと思うんです。
中島:めちゃくちゃ大事、ネームがダサかったら嫌やもん。
パンサー:古着とか見てても、ビンテージ・レギュラー関係なしに「このネームタグめっちゃカッコええなぁ」ってのがありますよね。
そういう部分もやっぱり大切にしたかったから、今回僕は『Levi Pata(リーバイ・パタ)』っていう京都在住のアーティストにお願いしたんです。
先ほど昭一君に話したブランドのヒストリーじゃないですけど、
どういう流れで『Willow Pants』になったかっていうことを、全部リーバイにも説明して。
中島:あぁ、そう。
パンサー:リーバイにそれを投げかけて。
そうそう、彼、もともとサンフランシスコで生まれ育ってるので。
中島:あ、そうなん?
パンサー:そうです、その繋がりもあったんですよ。
リーバイとは3年くらいの付き合いで、サーファーの先輩の人に紹介してもらったのがきっかけだったんです。
それで自分のイベントにも来てくれて、そこで「実はパンツを作ろうと思ってるから、
ちょっとデザインをして欲しいんだよね」って話をもう、そのときから言ってたんですよ。
中島:そうなん。色々あるねんな、はい。
パンサー:はい、リーバイも快く「僕が手伝えることやったら」と言ってくれてて。
リーバイの個展とか、ライブペインティングも色々見に行きましたね。
彼、結構色んなとこでライブペインティングしてるんですよ。
で、彼の描く絵もそうなんですけど、彼自身もやっぱりね、雰囲気がある男なんですよ。
インスタグラムで『Levi Pata』って入れてもらえれば出てくるんで、今これを見てくれてる人にも見てもらえたらなとは思うんですけど。
そでれまあ、彼にブランドのことを説明して出てきたデザインが、これになるんです。
だから別に、これに関しても意味合いっていうのが特になくて。
僕が説明したことをリーバイがかみ砕いたっていうか。感じたことをデザインしてくれたっていうとこです。
中島:あぁ~。
パンサー:それでまあ、タグをここに付けて。
例えばベルトをはめたときにチラッと見えたりとか、靴ひもを結ぶときとかに、
こうちょっとチラッと見えたりとかするのがいいじゃないですか。
中島:今度ちょうど、リーバイの話になったし、こっちの話を続けてもらっていい?
この問題のベルト。
パンサー:あはは(笑)、ありがとうございます。
リーバイって『Vans』のオーセンティック大好きで、お家に行ったらもう玄関中に置いてあるんです。
で、彼のオーセンティックの踵の部分、そこに彼が「bye bye」っていうロゴを、
まぁアーティストなんで、自分で描いとったんですよね。
中島:ほうほう。
パンサー:僕、それを一番最初に見たときに「めちゃカッコいいやん!」って思って。
「バイバイ」って、まぁ、毎日は言い過ぎですけどめちゃ使う言葉じゃないですか。
で、その「バイバイ」がすごい僕も気に入って。
で、彼にちょっとどこかに描いてほしいって話を持ちかけたときに、「ちょっと待てよ」と。
僕、さっき「パンツしか作らない」って言ってたんですけど、パンツに付属するベルトであったり、
例えばポッケに入れるもの、ハンカチとかチーフとか。
こういう、パンツに付属する何かっていうのは、その業界のプロにお願いして、
1回のコレクションで1品番・2品番ぐらい作って行こうと思ってるんですよ。
中島:うんうん。
パンサー:その第一弾として、今回は、福岡の糸島にある「Rooster King & Co.」、
松さんっていう、革でベルト作ったり、バッグ作ったりとか、ハンドメイドで革製品全般を作っているアーティストがおられて。
その人にお願いをしてベルトを作ってもらったんですけど、「これ、後ろにバイバイ入れたら…」って。
中島:はいはい。
パンサー:「バイバイ」って去るときに言う言葉じゃないですか。背中を見せるわけじゃないですか。
そしたら「腰、見えるな」みたいな(笑)
それをリーバイに伝えたら、「凄くいいと思う」ってリーバイも言ってくれたんですよ。
で、話がトントン拍子に進んでいって、このベルトが出来あがったっていう。
これ1点1点ハンドで描いてもらってるんで、1個ずつ表情も違いますし、いいでしょ。
中島:入ってる場所も違う?
パンサー:場所は一応同じなんです、なるべく真ん中。
けどやっぱり、人によってウエストが違うから、全員真ん中には来ないんですよ。
でも大体いいポジションに来るように、入れてもらってます。
あとはこれだけ捨て寸があるベルト、私物のビンテージのベルトを参考にしたんですけど、
穴が山盛り開いてて、ワンサイズで、どんな人でも付けられるみたいな。
で、自分がこう垂れる…、ベルトがこう下にストーンって落ちるような、そういうコーディネートを好んでて。
中島:ふんふん。
パンサー:女の子は上手なんですけど、腰回りにアクセントを持ってくるコーディネート。
僕は、タックインすることが結構多いんで、こう、腰回りを見せるスタイリングっていうのをよくするんですよね。
タックインしないようなアイテムでも、これだけの捨て寸があると、チラッと見えますよね。
この、ここに何かが見えるっていうだけでも、全体のトータルのスタイリングがやっぱりだいぶ映えると思うんですよ。
やっぱり色んな、例えばデザイナーブランドのルックブックとか見てると、
腰に何かポイントがあったりとかするコーディネートってよく出てくるんですよね。
やっぱり僕は、コーディネートで差をつけたいなっていうのもあって。
だから今回このロングのベルトも、パンツと一緒に見てもらえたらなとは思いますね、はい。
パンサー:あの、生地だけもうちょい言っときましょうか?
中島:生地のこと、お願いします。
パンサー:一応、今僕が履いてるコーデュロイ。
これに関しては、90年代のデッドストックの、メイドインUSAのコールテンです。
中島:あ、アメリカなんや。
パンサー:8ウォールの。はい。
で、実際に見てもらいたいんですけど、結構オンスっていうか、
日本の今のコーデュロイに比べると、ちょっと甘いんですよね、織りが。
もうほんとに「サマーコールテン」って言ってもいいぐらい。
僕実際、ロンパンで作ってみて、ショーツでもイケたなって思うんですよ。
中島:あ~、そう。
パンサー:試着しているときには分からないと思うんですけど、
1日穿いたらそれが分かる。それで軽い。めちゃめちゃ軽いっす。
だから冬だけじゃなくて、春。真夏はちょっとキツいかもしれないですけど、春先めちゃいいと思います。
で、今僕が穿いてるサンプルなんかは、もう5、6回洗ってるんで。違いますよね、ケバが立ってきてて。
中島:うん、分かる。違うなぁ。
パンサー:ね、雰囲気もよくなってきてるし。
僕も自分がパンツを作る中で、アメリカのカルチャーっていうものにだいぶ影響されてるんで、
アメリカの生地を使えたのは自分でも嬉しかったですし。
で、もう1つの素材は…、写真で見ると分かりにくいかもしれないんですけど、ウールのパンツです。
なんですけど実は、混率はコットンのほうが多めで、82コットンの18ウールっていう。
触ってもらったらチクチクしない、みたいな。実際、自分もコレ穿いてて全くチクチクはしません。
で、よく見ると、織りがジャガードになるんで、ちょっと蛇の柄みたいな。
この生地を見たときに、「わ、この生地めちゃいいやん…」って思って。もう直感で、この生地は選ばさせてもらって。
ただやっぱり、ごめんなさい。これデッドの生地やったんで、ロールのメーターが少なかったんで、え~と、31本しか作ってないんです。
パンサー:あとはそう、一応この下げ札なんかも、ちょっとこだわってて。
これは青森の弘前っていう町で、活版印刷のオタクの女性の方がおられて、その人に全部作ってもらってる下げ札で。
台紙も紙も、ちょっと厚みのある紙を使ってて、ここのね、雰囲気がいいんです。
やっぱり下げ札なんかも、店頭に並んだときの1つの顔になるので。
中島:うんうん。
パンサー:で、これもリーバイが白黒バージョンのネームも描いてくれてたんで、じゃあそれ使おうって思って。
アーティストの絵なんで、これは壁にピッて貼ってもらってもいいかなっていうのもあります。
そういう部分も踏まえて、ちょっとこう、お金をかけて作りました。
で、一応後ろに全部、作った本数とシリアルナンバーを僕が手書きで書いたりしてて。
何か自分の気持ちを込めて書いたりして行きたいなっていうのは、ブランドやるときからちょっと思ってたんです。
まぁ、誠心誠意を込めて、なんかまぁ、ちょっとこう、作ったパンツなんで。
そりゃやっぱり、好き嫌いもあるとは思うんですけど、色々見てもらって穿いてもらって、気に入ってもらえればなっていう所存ではでございます、はい。
中島:了解っす、ありがとう。
いかがでしたか?
『Willow Pants』のアイテムは12月1日発売開始です。お楽しみに。