MOJITO 2019 S/S Pre – Meeting を終えて。
先日から販売を開始しました当店別注のdb Exclusive GULF STREAM PANTS Bar.4.0。
おかげさまで、数多くのご好評を頂いております。
そして先週行われたMOJITO 2019S/S Collectionの受注会。
2日間に渡りお越し頂いたMOJITOデザイナーの山下氏から服作りにまつわるお話をお聞きしました。
今回、受注を頂いた方から、タイミングが合わず来られなかった方。
MOJITOのヘビーユーザーからMOJITOとはどんなブランド?という方まで。
デザイナー自身がどのような想いで制作されているのかを知って頂くと洋服の見え方も変わるやもしれません。
どんなコレクションなのか?別注でのポイントは?
そんなことにも期待しながらどうぞご覧ください。
・MOJITO 2019S/S Collection
中島:それではよろしくお願いします。
山下:よろしくお願いします。
中島:そうしましたら、伝えられる範囲でMOJITO 2019S/Sのコレクションについて、デザイナーとして制作にあたってのお気持ち等を聞かせて頂けたらと思います。
僕としては今回、新型が多いなとか、ぶっちゃけた話をすると、なお難しいコレクションやなっていう印象を受けたんですけど、山下さんとしてはその辺をどうお考えなんでしょうか。
山下:そうですね。確かに今回のコレクションは比較的、構成が難しく、現に多くのバイヤーさんからもそういうお声はいただいています。
僕自身、去年の春夏が明るい色や、分かりやすいポップな色使いをしていたのでその反動といいますか、”落ち着いたトーンのものを夏に着る”という気分になってきたので、生地を選ぶ段階で、去年の夏らしいエスニックな明るい色をたくさん選んではいたんですけど、ふるいをかけたときに2019S/Sのような黒ベースの色味が残りました。
それでカラーリングに関しては”SUMMER BLACK“という大きなテーマを設け、素材に関しては日本の気候を考えて、もう一度リネンいう素材を多く取り入れたというのが2019S/Sの特徴です。
中島:しっかり数を数えているわけじゃないんで分からないんですけども、ショーツにしかり、シャツにしかり、やはり新品番が多いじゃないですか。
その辺はどういった意図があるんでしょうか。
山下:そうですね、僕の中で新型イコール新しい定番をつくりたいっていうのがあって、昨日も中島さんにはちょっとお話ししたように、リリースするのは新型だけれども、僕の中ではずっと温存しておいたデザインや形で、素材や時流に乗ったタイミングで出したかったんですね。
今回、ちょうど良い素材に巡り合えたっていうのと、MOJITOとしての長いカレンダーの中でタイムリーかなと思えるタイミングが来たので出しました。
中島:そういうことやったんですね。
あとは今回のコレクションを見させていただいて気になったものがあって。
例えば、レースの付きのシャツであったりとか。
裏返えして見たときにこれ凝りすぎちゃうかなって思ったんですよ(笑) 正直いうとね。
山下:あのー、縫製の工程をいうと凄く大変です。
やっぱり一回工場から出して、刺繍屋さんで刺繍をして、もう一度工場に戻すという過程を踏むので、シャツを仕立てるまでに時間もそうですし、お金も労力もかかります。
なんですけど、アイディアになったからには”やってみたい”という気持ちがやはり強かったんです。
特にハシゴのような穴が空いているシャツなんかは、女の子のブラウスの襟部分によく使われますが、
それをメンズらしく、MOJITOの解釈だとこうなるよといった具合に仕上げました。
だからキューバシャツとかアブサンシャツをアップグレードしたというイメージでつくったのが今回のシャツです。
中島:なんかその、僕もそれなりに多くのデザイナーと会ってるんですけど、やっぱりやってはることが(MOJITOとは)なんかちゃうんですよね。
時代的にいうと、この秋冬も続きそうですけど大きなプリントの入ったロンTであったり、分かりやすいスウェットであったりっていうものが売れて、縫製面やディテール面に関しては時代的にちょっと。っていう風には山下さんも感じてらっしゃるとは思うんですよ。
山下:やっぱり感じますね。
まず、その時流というか、大きなうねりっていうものを僕も大事にしたいんですけど、決してこうトレンドセッター的な立ち位置のブランドではないので、例えば、アブサンシャツを4枚、5枚、10枚と持ってるお客さんが”じゃあ春夏に柄違い、素材違いのものを”って思えるものを作りたいと思ってます。
それにプラスして先ほどの話にでたレース付きのシャツであれば、ディテール面を従来のものから少しアップデートして。という風に変化をつけています。
中島:今回、シャツにしかり、かぶりにしかり、柄の横使いが多いですけど、あれはなんかあるんですか。
すごい難しいですよね?
山下:あれもすごく難しいです。取り都合も悪いし。
中島:正直いうとウケにくいですよね。チェックやストライプならまだしも、至る所で目についたんで。
なんで黒シャツで横使いをこんなにたくさんするんやろと思いましたもん。
1種類じゃなくて3種類くらいあるじゃないですか。あれはどうしてなんですか?
山下:やっぱりマリンボーダー、ブルトンマリンというか。どうしても横縞っていうものを作りたかった。
要はバスクシャツみたいな感じのものですよね。
中島:マリン配色ではないんですか?
山下:ではないです。どちかというとストライプっていうよりはやっぱり横縞なんですよね。
中島:でもネイビー使ってないじゃないですか(笑)
山下:そこはやっぱり”SUMMER BLACK“ということで(笑)
中島:やっぱり”SUMMER BLACK“が一つのカギのようですね。
今回もピックアップするのはうちの店に合うものなんですけど、こう、オーダーの山がね。
今期はどの品番を推していこうかみたいな。こいつは店の世界観を出すためにっていう。
そういったことを考えるとほんまに色んな取引先が頭悩ますやろうなーって。いけずなコレクションやと思います。
いい意味で試されてるというか。
山下:そうですね、そういう風に捉えるとやっぱり中島さんの言われた通り、難しいと思います。
まずガルフストリームショーツがないですし。
中島:やっと触れはりましたね(笑)
山下:(笑)
中島:あの新型のショーツにしてもねぇ、またこれややこしいことしてるわと思って。
でも普通ああいう風なテイストにすると幼なくなったり、スポーツテイストに見えるんですけど、そう見えないのが凄いなと思いました、純粋に。
けどなんでこんな難しいことするんやろっていうのはありますよね。
山下:そうですね。
その辺は多分、春夏のマーケットを自分なりに見て、やっぱりどうしても自分に天邪鬼な部分があるので、こういうテロテロなものが売れるなら素材感でもっと魅せていこうとか。
そういうのはあるかもしれないですね。
中島:でもなんか楽しみですよ、昨日見に来てくれたお客さんも前回のように即決の人が少なかったじゃないですか。
山下:まあバイヤーが悩むってことはお客さんもそりゃあね。難しいと思いますよ。
でもそんな中で選んでくれてる人がいるっていうのはやっぱり嬉しいですね。
中島:なお玄人向けというかね。
僕としては最近、この半年、一年くらいで若いお客さんが増えたんですよ。
でもどうやって若いお客さんにMOJITOを理解していただいて、どういう風に着こなしてほしいかっていう絵がパッと浮かばなかったんですよ。
どうしたらええんやろみたいな。
年配のお客様っていうのは長いこと店をやらせてもらってますんで、それなりに理解もあって、お分かりいただけると思うんですけどね。
でもまあその分、ない知恵絞って、山下さんと色んなお話させていただいて、賛同できるようであればそれに乗らせてもらおうと思いますし。
わからへんのやったら正直うちもたくさんいいブランドをさせていただいてるんで、言い方悪いですけど、その一つとしてコーディネートであったり、どの部分に落とし込んでいこうかなっていうのを考えています。
そういう意味でも次のコレクションやったらやっぱりあのショーツが気になりますね、僕は。あのショーツが一つポイントになりそうです。
山下:そうですね、あとはガルフストリームパンツが今までとはちょっと雰囲気が違うので。ベルトにしても、素材にしても。
新型のショーツも含めて、あの辺を春夏のコレクションに定着させていきたいなっていうのが僕の考えです。
やっぱりナイロン、リネンっていう接触冷感の素材は日本の気候にもいいと思いますし。
中島:なんかこう、コレクションを見たときに難しいなと思った反面、静かなる何かっていうものを凄く感じたんですよね。
色んなことをぎょうさん考えてはるんやろうなっていう。
でも一番は、前の2018年春夏のコレクションからそうですけど、迷いはないんやろうなっていうのを思いましたね。
デザイナーによっては、これ迷いながら作っとるんやろうなみたいなのを感じることもありますし。
逆にこういう時代やけど難しいことに挑戦しながら自己表現されてるデザイナーもいらっしゃるんやなっていう。
うまくは言えないですけど、僕等からすると励みになるというか。
こういう人がいらっしゃるんやったら僕等も難しいことであってもやらなあかんし、やりたいし。
次のステップへっていうのは見えそうで見えないんですけどね。
けどやっぱりそういうことに僕等も挑戦していこうとは思うので、慎重にいきますけど、時には大胆にいくのでぜひよろしくお願いします。
山下:ええ。よろしくお願いします。
・別注ガルフストリームパンツの制作にあたって
中島:今回またご無理を言って、いつもでしたらこういう素材を探して下さいっていう形でお願いして、お忙しい中、生地屋さんを見つけてもらっているんですけども、ディテール面に関しては、どこまでやっていいのかっていうのが正直なところやったんです。
ガルフストリームパンツはもう完成されたものやと思うので、あれを超えるものっていうよりは、これぐらいやったら失礼じゃないかなっていうところでお願いはしたんですけども、おかげさまで凄い好評をいただいています。
もう数本しかないんですけども、あれって正直どう思わはったんかなと思いまして。
山下:はい、まず中島さんが最初に気に入ってくれたスモッグ(NORMANDY SMOCK )っていう品番とのセットアップに僕は大賛成だったんですよ。
で、やっぱりMOJITOってどちかというとディテールで売っていくブランドなんです。
面で売っていくっていうよりは、ディテールで売っていくのでガルフストリームに果たしてフラップをつけるべきかどうかっていうのは凄く慎重に考えました。
もちろん断ることもできるし、付けることはもっと簡単。
ただし、今回のスモッグとの構成を考えた時に、トップスとボトムスの共通するアイコンっていう部分でフラップを付けることに僕なりにですけど昇華できたし、テーラードジャケットとパンツのセットアップじゃなくて、アウターであるスモッグとガルフストリームパンツを共生地でセットアップっていう面白さに納得しました。
で、できたらやっぱりなるほどなと思いましたね。
中島:うれしいですね。
山下:で、(従来のガルフストリームパンツとは)表情が全然違うので新鮮味もありました。
レングスもちょっとなんですけど長く設定したことで、秋冬のウールっていう素材と理にかなったバランスになったかと思いますし。
中島:そう言ってもらえると別注させていただいて良かったと思います。
なかなかパンツって難しいですよね。
山下:そうですね、難しいですし、ガルフストリームパンツって売りにくいんですけど、中島さんのところってもう(別注)何回目?
中島:別注でいったら5、6回目ですね。
山下:そうですよね、でもほぼほぼ100%で消化してもらっているんで外すわけにはいかないし、値段も安くはないんで、そういう意味では慎重にやりました。
でもdoo-bopらしい感じでしたよね。
中島:そう言っていただけると嬉しいですね。
話は変わりますけど、昨日も大変でしたもんね。
わざわざ長野県から4時間もかけて来てくださって。気負いするわと思って。
嬉しい反面、それが正直な感想ですね(笑)
山下:いえいえ(笑)
中島:でも、これからも山下さんの思うエエもん、売れる売れへんは大事ですけど、やっぱりそのMOJITOの核心的な部分っていうのを見せさせていただきたいですね。
やっぱり楽しみですもん。ほんまに。
なんかまた難しいことしてるわとか、こういう風なやり方があるんやっていうことを発見させていただけるんでね。
お客さんもそういうことを求めてると思うんですよ、僕は。
わかりやすいものも良いけど、MOJITOには違ったことが求められてる気がするんですよね。
言葉で言うのは簡単ですけど、こうやって来ていただけることが当たり前やと思わんと、ゆっくり、一年ずつ山下さんのファンを作っていけたらと思います。
どうぞこれからもよろしくお願いします。
山下:僕の方もまた何かできたらと思います。
こちらこそよろしくお願いします。