- UPDATE: 2024.10.6
- Roots
amarillo:CUT FLAP SHOULDER BAG
地産地消。
会話をしている中で度々、口にされていた言葉です。
きっとそれが、『amarillo(アマリージョ)』というブランドで大切にしているものなのでしょう。
豊かな大地で育ったエゾシカを、肉から皮まで、全てその地域の中で消費する。
生命に対する畏敬の念が込められたバッグは、美しく、力強いです。
今年の3月に訪れた、北海道は札幌の南に位置する山の麓。
裏庭にキツネの親子がやって来るアトリエで、今回の別注バッグを企画しました。
昔働いていた雑貨屋のオーナーから譲り受けたという革細工の洋書を片手に、
独学でバッグやウォレットなどの革小物を作りを始めた高橋さん。
現在は北海道に生息する日本最大のシカ、エゾシカの革を使ったオーダーメイドの作品を作り続けています。
こちらから伝えた要望は大きく2つ。
1つは『amarillo』らしい編み込みデザインを贅沢に取り入れたショルダーバッグであるということ。
そしてもう1つが、フラップ部分は皮そのままを活かしたナチュラルエッジであるということです。
それだけ伝えると「じゃあ革を選びましょうか」と、
丁寧に鞣されたエゾシカの革を何枚も作業机の上に広げ、
バッグに適した厚みのある革を指の感覚で確かめていきます。
「フラップに使うのはこの部分が良いんじゃないかな」と高橋さんが指さしたのは、エゾシカの首にあたる部分。
ゆがんだ形状やムラのある厚み、深く刻まれたシワやキズなど、
それは自然の中で生きていた姿が想像できるほどに生々しく、
見たに瞬間この別注は凄い出来になると確信したのを覚えています。
その場で決めることが出来た革は2枚(バッグ2つ分)。
フラップ部分の形状や全体の厚みなど、別注バッグに適した(納得できる)革が他に無かったため、
残り1枚が確保でき次第制作に取り掛かってもらうよう約束をし、北海道を後にしました。
そこから6ヶ月が過ぎたある日、メールボックスを開くと不意に「完成しました!」の文字が。
お礼を伝えつつもすぐに送ってもらい、丁寧に梱包された段ボールが届きます。
それを開けるときのワクワクや、現物を見たときに受けた衝撃はここ数年味わっていなかったほどに強烈。
物に対してここまで感動したのは、本当に久しぶりのことでした。
その後こうして紹介するにあたり、あらためて今回の制作について話を伺うことに。
以下、高橋さんからいただいた内容です。
時間は想定よりも多くかかってしまいました。
打ち合わせからのデザイン構想、型紙製作と調整に1週間くらい。ここが最も時間がかかりますね。
特にナチュラルエッジを活かすデザインだと、エッジをどう使うか決めるのに何時間も悩んだりするので。
型紙が決まってしまえば、淡々と作業に入ります。
裁断と穴あけ、肩紐に芯を入れる作業などで約2日。
革紐作りに1日。
革紐はボディを裁断したあと残った部分からハサミで1本ずつ切り取り、
厚さを均一にするため革漉き機を1本ずつ通します。
その後、毛羽立ちを抑えるノリを塗って乾燥。今回のバッグですと30mくらいの革紐を作って使っています。
最後に編み込み縫製ですが、ボディに2日弱(15時間くらい?)、肩紐に1日強(10時間くらい)、
肩紐取り付け部分の補強とビーズ取り付けに1日弱。
ビーズの穴が小さいことが多いので、リューターで穴を広げてから通したり、
途中で革紐が切れてやり直したり…案外時間かかる作業なんです。
フタになる部分は大まかに裁断して、バッグが完成してからバランス見ながら最終の形に整えました。
3個のバッグを流れ作業でやったので1個だけ作るよりも効率は上がりましたが、
まるっと1ヶ月かかりました。
とにかく丁寧に、真摯に革と向き合う。
余った切れ端も小さなチャームやコインケースという形にして使い切ったりと、
1つ1つの仕事やアイテムからそれが伝わってきます。
そして何より、どうしようもなく格好良い。
doo-bopとして大切にしていることを、こういった形にしてもらえたというのがたまらなく嬉しいです。
発売日は10月12日。
北海道から届いた自然の素晴らしさを、その手で感じてください。
CUT FLAP SHOULDER BAG:¥154,000
DEER BRAIDED CHARM / long:¥2,750
DEER BRAIDED CHARM / short:¥1,980