Top > Column

from Mexico


1年ぶりの開催となる、サポテックラグにメキシコ土器のイベント。

打ち合わせをしに訪れた大阪は日本橋の事務所で、武藤さんにお話を伺ってきました。

前回のイベントではなかった新たな土器や、

日本に届いたばかりのラグの中からお勧めのものについて色々と説明していただいたので、

3月25日から始まるイベントに向けて目を通してみてください。









中島:今回のイベントもよろしくお願いします。

今年の1月、2月でまたメキシコに行ってたよね。

いつぶりになるの?久しぶり?


武藤:前に行ったのが2019年の末なんで、3年ちょいぶりくらい、ほんと久しぶりでした。

まぁ状況は変わってましたね、色々と。


中島:というと?


武藤:全体的に物価がだいぶ上がってる感じはありましたね。

街並みとかは特に変わってないですけど、普通にコンビニのコーヒーが値上がりしてるみたいな。

まぁ僕らが仕事で付き合ってる人たちの商品の値段の上げ方は

物価が上がったからって言う理由だけではないですけど。

でもラグに関しては糸の値段が上がってるって言ってましたわ。

ウールは自分たちでやってるからあれやけど、コットンがむっちゃ上がったって言ってた。

コットンの製品も作っとるんで。


中島:そうなんや。まぁしょうがないな、その辺りは…。

そうしたら今回は、ラグと土器がメインになると思うねんけど、

持って来てくれる土器からちょっと説明してもらってもいい?












武藤:分かりました。この辺が去年のイベントではなかった器で、

『アツォンパ』っていう村がオアハカの中心から車で30分くらい行ったとこにあって、そこのやつですわ。

そこは陶器の産地なんですけど、昔はこの(黒い)スタイルの陶器は作ってなくて、

緑色のやつが主流で、こんなやつなんですけど…。











武藤:アツォンパで元々有名なんはこういう緑のやつ、ただあまり日本には入って来てなくて。

というのもこの緑の釉薬に鉛が入ってて、まぁ身体に悪いよなってことで…、

メキシコでは昔からずっと使ってるんですけど。

でもそのアツォンパの土器のスタイルで、釉薬なしの、

素焼きのこういう黒いやつが流行っとるんです、今、向こうで。

一応コップとかスプーンの内側には透明な釉薬塗ってますけどね、

あ、これは身体に害とかは全然ないんで安心してください。

…それでここ何年かこの黒いスタイルっていうのが流行ってて、

オアハカのけっこう有名なレストランとかでも使われてるんですよ。


中島:あ、向こうでも実際に使われてるんや。

一般家庭とかでも?


武藤:家庭でもセンスの良い人らは使ってたりするんちゃうかな。

僕らはその、アッパーなレストランで使われているのを見て「格好良いやん」って。

オアハカの伝統料理とか出してるむちゃくちゃ格好良いレストランなんですよ。

それで日本でも紹介したいなって。


中島:うん、すごく良いと思う。











武藤:で、これ1個1個色が全部違うのは、もともと火加減とか煙、灰の当たり方とかで

色が変わるんやけど、野焼きでやっとるんで毎回ムラがあるんですよね、

こんなところで焼きよるんですよ。











武藤:それでやっぱり温度もちょっと低いんですよね。

普通の窯ってこう密封して、温度も1000度から1300度くらいまで上げて焼くんですけど、

野焼きでこんな感じで焼いてるから、温度も1000度以下で。

締めもちょっと甘い、まぁ『土器』ってそんな感じなんです。


そんなんやから水がちょっと沁みやすいっていう特徴もあって、

もちろん食事するにあたっては問題ないんですけど、洗った後はしっかり乾かしてからしまうようにせんと

カビとか生える可能性もあるんで、そこだけは注意ですね。

あとまぁこういう土器って長く使ってると端っこが欠けたりすることもあるんですけど、

何かにぶつけたりしてね、それはそれで雰囲気があって良いんですわ。

コップとかは危ないかもしれへんけど、お皿やったらちょっと欠けたりしても

それはそれで格好良いから使い続けていきたくなるし、使い続けて欲しい。

「端っこ欠けたから捨てよう」とか、そういう器じゃないんで。










中島:すごいなぁ、雰囲気あるわ。

お客さんに飲食やってはる人も何人かいるから、そんな人にも見てもらいたいな。

…新しい器に関してはこんなとこかな。

それじゃあラグで、新しい柄とかお勧めあったら教えてもらえる?


武藤:オッケーです。

まずはこれかな、ミトラ遺跡ってあんねんやんか、オアハカにあるでかい遺跡。

その遺跡の壁にさ、この柄、レリーフが彫り込まれてて、それを使ったやつ。


あとこっちは『カラコル』、カタツムリがモチーフやねんけど、

カタツムリってサポテック族、このラグを作ってる人らにとって輪廻転生を示す生き物で。

だからけっこうこの柄自体は色んなところで織られとるんです。

まぁシンプルにデザインとして格好良いよね、これもお勧め。












中島:やっぱり柄の配置とか色使いのセンス良いよね、

モダンな印象もあるっていうか。


武藤:そうでしょ?ほんまに良いんですわ。

あと僕的にはこういうちょっと変わった柄、抽象的というか、この辺りは推してるかな。


そうそう、あとこれ、ピラミッド上から見たやつ。

『モンテ・アルバン』のピラミッドを上から見た図っていう。

これは糸もメランジ調で、シンプルで合わせやすいし良いと思う。











武藤:で、これもカラコルやねんけど、ちょっとスペシャルバージョンで。

あんまり多色使いのモノって扱わへんねんけど、これはもう格好良いなって。笑

正方形っていうのもあまり織ってなくて、「なんでこれ正方形なん?」って職人さんに聞いたら、

「このパターンはこの形が格好良いと思ったから」って言ってて、これはお勧めです。

壁に飾ったりしても雰囲気あるし、吊るしても良いしね。


中島:ありがとう、いやぁ楽しみやな。

良い感じにレイアウトしておくわ。









さて、いかがでしたか?

今回のコラムはピンポイントに『物』についての内容となりましたが、

武藤さんがなぜメキシコの雑貨に興味を持ったのかであったり、

サポテックラグはどのようにして作られているかといった内容は過去のコラムにて詳しくまとめてあります。

Vol.1』と『Vol.2』があるので、まだ見ていないよという方や内容を忘れてしまった方は、

ぜひご覧になってください。


それでは3月25日から4月2日の期間、メキシコの空気を感じていただける店内でお待ちしています。







アーカイブ