メキシカンラグの今 Vol.2
『Vol.1』に続いて、今回はラグの製造についてお話を伺いました。
手作業で織っていると聞いただけではまだボンヤリとしていた部分が
より具体的に見えることで、このラグの魅力がより伝われば幸いです。
中島:そうしたら具体的にラグができる過程というか、
現地の職人がどういう風に作ってるのか教えてらってもいい?
武藤:うん、まず自分達で、羊の刈った毛をといて細くするところから始めるんですね。
切った毛をこう、剣山みたいな櫛で細くして。
そっから糸巻きにかけて撚っていくんです。
それで糸の束にして、そっから染めるんですね。
それで染めた後の糸を、まぁ色によってグラデーションに染めていって、
濃淡付けて、何色もストックしておいてラグを織り始めるんだけれども。
例えば今回のイベントで持って行く中で1番大きいやつだと、130×200のサイズで、
織るのに大体8週間、2ヶ月くらいかかるって言われてます。
中島:2ヶ月⁉
それは織るだけで?
武藤: 織るだけ織るだけ。
染色とかは別で、織り始めてから8週間。
中島:そんなかかるの…?
1人の職人で?
武藤:うん、1人の職人で。
それくらいかかるみたいですよ、まぁ柄の細かさにもよるみたいですけど。
縦糸セットして、そこに横糸入れていって、
手織りで緻密な柄とか表現するってなると、やっぱり2ヶ月くらいかかるみたいです。
無地でひたすら横糸入れるだけでいいんやったら分からないですけど。
柄1個1個ね、入れていくこと考えると…。
中島:やばいなぁ…。
あとね、これも人によるとは思うんですけど、柄って図面があってなのか、
それとも頭の中でイメージして織ってるのかどっちなん?
武藤:あぁ、なんか頭にイメージある人も多い気がします。
いきなり織り始めるっていうのもあるし。
中島:まじか…。
武藤:あとはこういう絵柄っぽいやつ、
左右対称な絵柄やったら目の数かぞえながら均等に柄を入れていくだけなんですけど、
まぁその数かぞえるのも大変やとは思うねんけど…、
対称じゃないやつ、こんなんとか…斜めのやつを織るのは大変みたいですわ。
中島:斜めのやつ?
武藤:斜めに柄を織っていくのが、
こうまっすぐ斜めに入れていくっていのが、1個でも目がずれたらあかんし、
こういうのはやっぱり難しいみたいですね。
あとはそう、縦糸をセットするときに、そこに下絵を描いてる場合もある。
中島:どういうこと?
武藤:こう縦糸をまずバーンって張ってるじゃないですか、
その状態で横糸を入れていくんですけど、その前に張ってある縦糸に上から…
これ黒い線見えます?これ言うたら『下絵』なんですよ。
縦糸にペンで線を描いておいて、それの通りに織っていくっていう。
中島:あぁ~なるほど。
武藤:うん、複雑な柄とかやったらペンとかでまず下絵を描いたりもします。
ちなみにこれはピカソの絵の柄やったんですよ。
中島:え!?そんなん作っていいの?
武藤:まぁええんとちゃいます?…これはお客さんからのオーダーやったみたいですけど。笑
まぁそういう風に下絵を描いてる人もいますね。
武藤:でもこういう決まってるパターン、昔ながらの伝統的なパターンなんですけど、
こんなんとか、トライアングルとか。
こういう伝統的なパターンはどこの織り手たちも織ってる柄っちゃそうなんですよね。
でもこういうのとかは…。
中島:こういうの見たときびっくりした、こんなんあるんやって。
武藤:うん、こういう柄は全部ここの、サムエルさんの工房のオリジナルパターンですね。
ゆくゆくはこの辺の柄ばっかり扱っていこうかなとは思ってるんですけど、
一部は伝統的なパターンでも、格好良いパターンも多いんで、
そんなんは色だけアレンジしてみたりとか、そういうのでやってます。
例えば柄のサイズをもっと大きくしてみたりとか。そういうのを今オーダーしてますね。
中島:いや良いと思うほんまに。
というかこれでかくない?機械。
武藤:機械むっちゃでかいですよ。笑
こういう織り機も、全部自分たちで組んでるんですよ、売ってるわけじゃないんで。
木から自分たちで組み上げて、そこも凄いですよね。
中島:そうなんや…。
武藤:織るラグの大きさに合わせて幾つか種類があるんですけど、
これは特にでかいやつですね。
これはオーダーのやつを織ってるとこやと思います、凄く長いやつ。
この工房はオアハカの中でも力のあるとこで、ホテルとかに納めたりもしてるんですね。
ホテルのエントランスにある超長い、10mとかのラグとかあるじゃないですか。
中島:そんなんも作りよるの?
武藤:作りよるっすね。
味あるでしょ、この回す所も自転車の車輪とかで。笑
中島:すごいなぁ…。
武藤:それでまぁこういうのを実際に見ると、それだけの価値はあるなって思うでしょ?
中島: うん、それはすごい思ったわ…。
いかがだったでしょうか。
さらに現場の雰囲気を感じることの出来るムービーを武藤さんにご用意いただきましたので、
当店のインスタグラムからチェックしてみてください。
それでは来週末からのイベントでお待ちしております。