Top > Column

TUITACI


二月一日。新たなブランドのコレクションが発売されます。

沖縄の空気を纏う洋服はどこかヤンチャで、それでいて地元への愛を感じるデザイン。

今回はそんなブランドの代表である、名城 彰耶さんにお話を伺いました。







中島:今回なんですけど、名城さんに興味があるんで、洋服のことは置いといて、

名城さんご自身のことを色々と教えてもらっていいです?

人間的なところでもいいですし、モノ作りに対する考え方でもいいですし、

今まで店をやってきた経験でもいいですし。


名城:え…。



中島: 何でかって言うとね、僕は実際にお会いして喋ったりもして、多少は知ってるんですけど、

お客さんとかうちのスタッフは知らないんですよね。

洋服はもちろん大事なんですけど、名城さん本人に対して興味を持ってる人も多い。

これって凄く良いことだと思うんですよ。

だから皆に対して名城さんってどんな人なん?っていうのをこの場で聞いてみたいなって。



名城: え~っと…難しいですね。

全然準備してなかったんで。笑



中島: じゃあちょっと質問変えましょか。笑

名城さんのされてるお店、セレクトショップと、飲食店もやってるじゃないですか。

僕はそこの内装とかが良いなって思ってて、興味があるんですけど、そういったことが得意なんですか?

何かルーツがあったりとか、感性を信じてやってはるのか知りたいなって。



名城: はいはい。

感性というか感覚って言う方が近いかもしれないですね、そういう部分では。

ベースは『WALKER(沖縄のセレクトショップ)』時代の買い付け、

アメリカとかに行って、古着であったりインディアンジュエリーであったり。

そういうのにプラスして自分の感覚っていうところです。

伝統とか昔のモノを全く100%取り入れるんじゃなくて、

自分のエッセンスを入れて、内装にしろ、『TUITACI』にしろ、

形にしてるって感じなのかな。



中島: なるほど、ご自身の感覚っていうのはやっぱり大事にしてはるんですね。

他にも何か強みじゃないですけど、モノ作りで大切にしてることってあります?



名城: それで言うと、自分が一番大事にしてるのは『現場』です。

モノ作りをするメーカーになると、いわゆる現場ではなくなるわけじゃないですか。

でも僕はずっと現場、店頭に立ってきて。

おやじのところ(WALKER)でずっと勤めさせてもらってきて。

だからメーカーとは違った考え方を持ってるというか。



中島: あ~、なるほどなるほど。







名城: メーカーって結局モノは作るけど、実際お店に来る、お客さんのリアルは知らないわけじゃないですか。

例えばそのお店で実際に売れる色であったり、形であったり。

だから『現場感』ですかね、自分が一番大事にしてることは。

それでお取引先のお店には実際に行きたいって思いますし、

このブランドでは代表ってさせてもらってますけど営業もやってて、

でもそれは業務的な営業職じゃなくて、『会いに行く』リアルな感じっていうか。

それによって現場の、店舗のスタッフさんと、お客さんと、

同じでありたいっていうスタンスで、僕はモノ作りをしてますかね。



中島: なるほどなぁ。今のは深いですねそれ…。

デザイナーの独りよがりにならないように、しっかり自分も現場を見たうえで、

それを商品に落とし込むっていうことですね。



名城: この前お店に伺わせてもらったのも、実際に店舗の空気感であったり、毛色であったりを見たかったんです。

お店によって全然雰囲気って変わるじゃないですか、例え扱ってるブランドが近くても。

ネット時代の中で、店舗がある意味っていうのを、ブランド側もしっかり受け止めるべきだと思ってて。

別にポップアップがやりたいとかそういう訳じゃなくて、

その店舗と近いクロスになる様な、モノ作りの考え方をしてます。




中島: なんか珍しいというか、そういう意見はこれまで聞いたことなかったんで、ちょっと新鮮です。

だから色んな所に顔出してみたりとか、

やっぱりインターネットでは繋がらないリアルな体験を大事になされてるってことですね。



名城: 単純に自分がショップの店員、代表としてやってきて何が良かったか、

メーカーに何を求めてたかなっていうのが、僕は『人臭さ』だったんで。

それが反映出来たらなっていう。

だから顧客さんには、もちろん中島さんのファンの顧客さんがいらっしゃると思うんですけど、

その方たちに、僕のファンにもなって欲しいというか。

ブランドではあるんですけど、名城 彰耶のファンになってもらえたらなって。

そうなってくると、より分かってもらえるモノ作りかなって思うんです。

なんかブランドのことは知ってても、デザイナーのことは知らないみたいなことって、

お客さんからすると多いと思うんですけど。それじゃない。

僕を知ってもらって、何か分かるみたいな。



中島: なるほど。例えば名城さんと実際にお会いしたり、今回の対談を聞いてもらったりして、

それから彼が作る服はこんなんやでっていう。



名城: そうですね、例えば中島さんがこの前作ったアポロキャップあるじゃないですか、

ああいうのが本当に良いなって思うんですよ。

中島さんっていう人物を知った上で、より良く映るというか。

なんかああいうイメージです。笑



中島: それはなんか嬉しいな。笑








名城: あとはそう、今回ブランドの名前を『TUITACI』にしたことについてなんですけど。

なんでそんな名前なんかっていうと、もちろん月並みな部分もあるんですけど、

店舗第一な考え方というか、店舗からして「こうあって欲しい」ブランドってどんなんだろうって考えて。

それで僕が店頭に立ってたとき、月の初日って、その日の売り上げが悪いと気分が悪いというか、

初日は絶対に良い数字を叩きたいって僕は思ってたんですね、店舗を任されてたときに。

だからこのブランドの発売日を絶対一日に設定してるのは、そういう意味があって。

なんか昔って、発売日に楽しみにしながら買いに行くみたいなことありませんでした?

一日に発売するから、このブランドがあるから月の初日にお客さんが来てくれて、服屋が良いスタートを切れる。

そういう面白さを考えた意味でのブランドネームでもあります。


生産準備する段階で、発売を一日に合わせるっていうのはやっぱり逆算が必要で、

手間のかかる作業ではあるんですけど、そこに重きを置いていて。

そこに面白さがあるというか、モノが良いのは当たり前で、

どっちかというと『事を起こしてる』といった感じに近いというか。



中島: なるほど『事を起こす』、良いこと言わはりますね。

ご自身が店頭に立っていた経験をしっかり踏まえて、そういったアプローチをしてはるんですね。








中島: またちょっと話変わるんですけどね、名城さんってマルチにこう、

飲食店、居酒屋もやってはるじゃないですか。

そっちはどんな感じなんですか?一度行ってみたいんやけど。



名城: あぁ~。

今沖縄と東京にあって、テンションは近いんですけど、

沖縄の方は創作居酒屋じゃないですけど、洋食をベースにした居酒屋なんですよね。

でも東京店は完全に沖縄っていう僕の背景をそのまま打ち出してるんで、沖縄色全開です。

それで2フロアーで作ってるんですけど、地下はまたちょっとバーっぽくしててっていう感じですかね。



中島: へぇ~、行ってみたいな、いや本当に。

え~っと、じゃあどうしようかな。

名城さんの方から僕らに質問とかないですか?



名城: そうですね、展示会のときなんで沖縄まで来てくれたのかなっていうのが、

正直不思議でして。笑



中島: 正直半分は遊びやった。笑

遠出もずっとしてなかったし、どこか行きたいと思ってて。

あと一平(CHANGESのデザイナーの古谷さん)から名城さんの話は聞いてたのよ、「沖縄に面白い奴がいる」って。

それでまぁ、お父さんのことは勿論知っててね。だからこの機会に一度お会いしてみたいなって。

それで一か八か、行ってみてダメやったらダメでしょうがないし。


でもやっぱり実際にお会いして勉強になったことは多かったです。

一番はその、周りの人を本当に大事にしてて、慕われてるなっていうのも感じて、人として興味が湧いたし。

洋服に関しても、こっちで行くんやなっていう、もちろんこれから方向転換もしていくかもしれないですけど、

やっぱり沖縄のことを大事にしてるんやなって。

名城さんが言う、「那覇を、沖縄を盛り上げたい」っていうそれは凄く心に残ってる。

正直僕はそんなこと全く考えたことなかったんですけど。笑


それで今回名城さんと出会って、何て言うのかな、

「この人は常に刺激を求めているんだな」って映って、僕はずっとそういう人を探し続けてるんですけど。

だから僕の周りにいてくれてる、頑張って攻め続けてる奴らに、また紹介したい人物が増えたっていうのが

すごく良かったです。




名城: ありがとうございます。



中島: いえいえこちらこそ。

それじゃあ今回はこの辺で。引き続きよろしくお願いします。








いかがだったでしょうか。

作っている人を知ることで、そのモノに対する愛着が増すという経験は、皆さんもあるかと思います。

この対談記事を通して、少しでも『TUITACI』に興味を持っていただけたのなら幸いです。




名城 彰耶さんのインスタグラム

TUITACI公式アカウント






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

TUITACI (朔・ついたち)

月の第一日目。
月が満ち欠けして、もとの状態に戻ること。
おわりであり、はじまり。

はじまり、スタート、一歩目を踏み出すという意味から
「始まる服、始める服、一歩くりだす服」をテーマにTUITACIを設立。

デザインソースの1つに、昭和という時代特有の制限のない自由さ、そして荒削りな人間くささをイメージ。
TUITACIを着る人々の行動のきっかけになる存在でありたい。
これが昭和に憧れ、現代に生きる我々の自由とロマンを求めた物作り。

<STORY>

代表 名城彰耶はファッション業界に身を置く父の影響により、幼少期から洋服に囲まれ育つ。
父の営むセレクトショップに入社後、古着やインディアンジュエリーの買い付けなど
海外と地元沖縄を行き来し、独自のバックボーンを成形。

独立後、自身のセレクトショップを沖縄県那覇市にオープン。
2022年春夏シーズンより、オリジナルブランドとなる、TUITACIを設立。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


アーカイブ