1940’s FRAME FRANCE
今回はなぜ『FRAME FRANCE』、フランスのビンテージメガネに惹かれたのか。
当店オーナーである中島に話を聞きました。
1940’s FRAME FRANCE
中島:僕はちっさい頃から目が悪くて、ずっとメガネしてんねんけども、
やっぱ興味を持てば持つほど、人間って掘り下げる癖があるんじゃないかなと思ってて。
ここ数年うちでやったらアヤメとギュパールをやらせていただいてるんやけど、
もうちょっと掘り下げたらどうなるんかなっていうのが自分の中にあって。
それで色んなメガネ屋に見に行ったりもしてんけど、どうしてか全部が一緒に見えてくるねんな。
でも最初にフレンチビンテージのメガネ見たときにピンときてん、「なんやこれ」っていう。
これは語弊があるかもしれへんけど、今の市場にある洋服もメガネも、大体のモノがそうなんやけど、
成功例をなぞってるのよね、基本的に。
過去の名品を似たような形でやろうっていうか、
今風なバランスで着けやすくしたり素材変えたり云々カンヌンっていう。
もちろんそれも素晴らしいことやねんけどね。
でも過去に、そのオリジナルが出来上がった当初っていうのはどうやったんやと。
最初のメガネって今の『ファッション』的側面があったとかじゃなくて、純粋に視力の矯正器具だったはずで。
そこからどういった人らがデザインとしても素晴らしいものにしていったんかなって。
よくメガネの黄金期って言われるのが、アメリカの1920~30年代やねんな。
ただこれはいわゆる『メタルフレーム』のメガネやねんけど、
僕はぶっちゃけて言うとそこまでメタルフレームに興味が湧かなかった。
昔からなんか『セルフレーム』に惹かれて、そんじゃあセルの黄金期はどこなんやってなったときに、
それが今回、というかこれから続けてご提案させていただきたい1940年代辺りのフランスだったんじゃないかと。
そんでその時代の商品を色々見ていったときに、ひとつ強く惹かれたのは『ブランドがない』っていうこと。
ブランド名がない、今みたいな感じで『どこどこの何か』じゃない。
せやから本当に1940年代のモノなんかとかは手探りで、とにかく数を見て覚えるしかないっていう。
まあだからお客さんからしたら、提供する側、まあ僕らを信じていただけるかどうかになってくるとは思うんやけど。
でもそうやって見ていけば見ていくほど、違いが分かってくるのが楽しい。
姿形は現行の元ネタやから当然似てるのもあんねんけど、やっぱりオーラがちゃうねんな。
単純にフレームの素材が違うってのもそうやし、その素材が違うと触ったときの『音』も違ってくるとか。
閉じたときのカチカチっていう音が心地よくて、ディーラーさんなんかはその音聞くだけでニヤニヤしてはったし。
他にもその閉じ方が今と逆やったり、ネジの留め方1つも違ってたり。
何でそうなってんのか分からへんことが多いっていうのがまた良いんよね。
まあこれから勉強していけば分かるんかもしれへんけど、そういうことが書いてある資料も、
ヒストリー本みたいなのも無いっていう。何度も言うけどでもそこが良いんよ。
またちょっと先程の話にも戻るんやけど、
やっぱりなぞるんじゃない、模索しながら『新しい』モノを作ってた時代っていうのに僕は魅力を感じてて。
80年くらい前にこれだけの完成度、もちろんフルハンドメイドで。
大きな構造っていうのは今のメガネと変わってないのよね。ある意味完成されてた。
せやねんけども、おそらく当時作ってた連中ていうのはこれが完成やと思ってなかったんちゃうかな。
「どんな色が良いんや、こんなデザインでいいんか、もっと良いのはないんか」って、
自己表現みたいな感じで色んなデザインのメガネを作ってたと思うんよね。
ブランドであったりモデル名っていうのは極論で言えばどうでもよかった。
そこがやっぱりグッとくるんよね。
今回ほとんど40年代に絞ってご用意できたから、(一部1950年代の個体があります)
こんなメガネがあったんやとか、このデザインってそんな昔からあったんやっていうのを実際に感じて欲しいな。
そこまでしなくてもいいって言葉があったとしても、僕らはそれでは気が済まない。
やっぱりオリジナルもお客さんに見てほしいねん。
僕らにとってはインディアンジュエリーと一緒で、すげえロマンを感じるものやねんよね。
人によって価値の捉え方が違う物かもしれへん、でも必ず好きになってくれる人がいると信じてる。
80年前にどんなことをしとったんかなって思いながら商品を見てもらったりとか、
「こうやったんちゃうか、ああやったんちゃうか」とかお客さんと話しながら、その歴史を紐解いていきたいねん。
僕もこれからどんどん勉強していくんやけど、勉強をやっていって1つの答えを探すんじゃなくて、答えをいくつも持ちたいんよ。
そういったとこで、フレンチビンテージっていうのは凄く面白い宝物なんじゃないかな。
撮影協力:ROCKSTEADY