【Trojan Horse】10年目の挑戦
『10周年に相応しい挑戦を』
今から約1年前のある日、そんな思いを胸に秘めながらも、
何を探してと言うわけでなく見て回っていた小規模な展示会。
偶然出会ったレザーメーカー【Trojan Horse】
そこから今回の企画が始まりました。
Bespoke、デザイナーと話し合って作り上げていく個人オーダーのスタイル。
デザイナーの益井さんが作るレザー製品を最初に見たとき、
この人となら求めるレザーが作れるかもしれないという、予感めいたものがありました。
何枚か所有してはいるのですが、どれも最終的に着ることが少なくなったレザーの洋服。
革製品特有の重さと動き辛さからくるストレスが原因でした。
潜在的に望んでいた、ずっと着続けたいと思えるレザー。
軽く柔らかな着心地、そして長時間の着用でもストレスを感じない。
そんな理想形を目指し、神戸にあるTrojan Horseのアトリエを訪ねたのです。
お世辞にも人が訪れやすいとは言えない場所に建つアトリエ。
扉をくぐると、暗く重厚な雰囲気の空間が広がります。
その場の空気に触れたとき、
『作れるかもしれない』という思いは『作れる』という確信に変わりました。
「どれくらいの種類のレザーを用意することが出来るのか」
初めにすると決めていた質問です。
Bespokeだからこそ叶う、パーツごとに異なるレザーを使用したいという我儘な要望。
ホースにゴート、キップなど、6種類ものレザーを揃えていただきました。
果たしてどのような経年変化を見せるのかは、私達にも分かりません。
完成形の予想が付かない洋服からは、不安以上に大きな期待感を抱きます。
また今回の洋服を作るにあたり、「所有者一人一人の満足感」をテーマとし、
どうすれば「個人」に満足してもらえるのかを話し合いました。
そうして出てきたのは、「1点もの」というキーワード。
当店でいうインディアンジュエリーにも通ずるように、代わりのきかない洋服からは、
必ずや所有することへの喜びを感じていただけると信じています。
レザー自体、個体差があるためそれぞれ表情は異なるのですが、
更に「1点もの感」を加えるため、1着ずつ「不揃いのアンティークボタン」を使用することに。
小さなパーツではありますが、違いを感じていただける大きな要素となりました。
そうして出来上がったのは、果たして格好良いのか悪いのか。
正直に言うと、それすらも分かりません。
「これを着ておけば間違いない」というようなものでは決してなく、
どうやって着ようかと悩み、これからも模索し続けていくであろう
ある意味とても当店らしい洋服。
レザーのイメージが無い当店が考えた1着。
その全貌は次回の更新で。