【COLUMN】 Shoe Care ~アッパー編~
南出
季節が深まり、革靴、ブーツの登場回数が増えてきていると思いますが、きちんとしたケアを含めてお楽しみいただいていますでしょうか。
12月3日(Sat)から開催となります、Paraboot Trunk Show & Shoe Care Eventに合わせまして、
本日は、日々シューケアアイテムをご紹介いただいています、R&Dの四垂さんに改めて、革靴と上手く付き合っていく方法をお伺いしようと思います。
どうぞご覧ください。
南出
まず、改めまして、表革の靴の、基本的なシューケア方法を主観的な要点を踏まえて教えていただいてよろしいでしょうか。
四垂
分かりました。順番にご説明します。
①【馬毛のブラシ】でブラッシングをします。
シューケアメーカーR&Dの四垂さん
ここで大切なのが、つま先ならつま先、かかとならかかとに向かって【一定方向】に表面の埃を取っていきます。
ゴシゴシ擦ってしまうと、小石を巻き込んで傷つけてしまう場合があります。
また、ブラシは仕上げ用の豚毛、埃落とし用の馬毛で使い分けてください。
埃落とし用の馬毛は、毛先が枝毛のように細かく分かれていまして、
静電気を起こす事で、表面の埃をしっかりと取り除きます。
②【リムーバー】を使用して、汚れをとっていきます。
こちらは、水溶性の液体となり、中の成分と分離していますので、ご使用前にボトルをよく振ってください。第一関節の指の腹がしっかりと濡れるくらいの量を一回として、
【お勧めは2~3回、表面を優しく、まるで赤ちゃんの肌を撫でるような感覚】で、ふき取ってください。
なぜ2~3回かと言うと、1回では【リムーバー】が浸透するのに時間がかかってしまい、
しっかりと汚れを取り切れません。
ですので、重ねるように2~3回。
そして、力を入れて擦るのも厳禁です。
革の表面がささくれのように毛羽立ってしまいますので、【優しく、回数を重ねる。】
これがお勧めです。
③クリームを塗ります。
ここから、使用するクリームによってアッパーの表情をお好きなように変化をつけていただけます。
今回はせっかくParabootのトランクショーと同時開催ですので、
スタッフさんの私物のParabootを使いましょう!
Parabootのアッパーに使用されているリスレザーはたくさんの油を含んだ革です。
雨、傷に強いという所はもちろんですが、使用するクリームによって大きく雰囲気を変える事ができるのもご存知でしょうか?
今日は2種類のクリームを使用して、ビフォー&アフターをご紹介しますので、どうぞ試してみてください。
〇ツヤありがお好きな方へ
通常のケアを想像すると、こちらのイメージを持たれる方が多いと思います。
【イングリッシュギルドビーズワックスクリーム(Natural)】を使用します。
しっかりと艶を出しながら、栄養も与えるクリームで、
カーフ、コードヴァンと、基本的にスエード以外の全ての革にご使用いただけます。
doo-bopさんでお勧めされているク【クリームナチュラーレ】と近い効果がありますが、
黒なら黒、茶色なら茶色の、本来の革の色がパキっと出るのが特長です。
ですので、ドレス用途のある靴にはすごくお勧めです。
(左)After (右)Before
そして、【豚毛の仕上げ用ブラシ】で磨いていきます。
豚毛は毛質が固く、毛の間隔も少し広めに植えられています。
これは、しっかりとブラッシングをする事で、革の表面で豚毛が竹のように撓り、
靴クリームの蝋成分(艶を出す成分)を溶かしながら表面に馴染ませるように考えられています。
ここではゴシゴシ擦って大丈夫ですよ。
また、先程伸ばした余分なクリームもどんどんブラシに取っていきますので、
ブラシに蝋成分が蓄積されていきます。
こうする事で、より艶が出やすいブラシに育っていくのです。
革靴好きの方の中では、革靴同様に、【仕上げブラシ(豚毛ブラシ)も育てる】という感覚が根付いており、
僕の愛用している豚毛ブラシももう8年物で、サッと磨くだけで、すぐに艶が出せますよ。
南出
【革靴と一緒に、ブラシを育てる。】確かにそうですね。
新品時の【豚毛ブラシ】よりも、今使っているブラシの方が明らかに艶が出やすいです。そういう事だったんですね。
四垂
そうです。同時に【豚毛ブラシ】の毛先も徐々に摩擦により丸みを増していき、これも艶出しの効果にプラスとなります。
それではここから応用編です。
〇ツヤなしがお好きな方へ
【ミンクオイルリキッド】を使用します。
その名前の通り、リキッド(液体)状の無色のタイプです。
当社よりリリースしている【ミンクオイルのべたつきを抑えた物】とイメージしていただければご使用いただきやすいかと思います。
こちらは、布に塗り、全体に塗り伸ばしてから、仕上げ用ブラシではなく、
【同じ布】で乾拭きをします。
(左)After (右)Before
このように、ワークブーツのようなマットな質感になります。
Parabootのように、ドレスに寄り過ぎていないレザーシューズはこのような楽しみ方も格好良いと思います。
光らせるだけがシューケアではないですからね。
傷をぼかすのでは無く、味として楽しみたい。
そんな方にお勧めです。
南出
ありがとうございます。
中島と同時期に購入したWilliamで、着用年数も同じなのですが、
入れるクリームでここまで雰囲気が変わるのですね。
四垂
そうですね。基本のシューケアをマスターされた方には、
ご自身のスタイルやお好みに合わせて艶の出し方を変えていただくと、
よりシューケアを楽しんでいただけると思います。
イベント当日は、【ポリッシュ(鏡面仕上げ)】もお見せ出来ればと思いっていますのご期待くださいね。
次回更新の【COLUMN】 Shoe Care ~インソール編~は、11月30日(Wed)を予定していますので、どうぞご期待ください。
2016 Paraboot Trunk Show & Shoe Care Event.